2010年09月25日

映画レビュー『悪人』

『君が僕を知ってる』

映画を観終わった後、RCサクセションのこの、大好きな曲が頭の中でグルグルかかっていた。
重い観賞後感にはそぐわない軽くポップな曲だけど、なにか思うところがあったのだった。

♪今までしてきた悪いことだけで 
僕が明日有名になっても 
どうってことないぜ 
まるで気にしない 
君が僕を知ってる♪

幼いころ母に捨てられた祐一は、この実感を持ったことが一度もなく、そういう人に逢うこともなく生きて来たんだろう。育ててくれた祖父母は別だろうけど。。妻夫木クンの普段にはみたこともない無気力な顔が、そう感じさせる。だからこそ、佳乃が言った「あんたなんか誰も信じない」、その言葉に震える程怯えて、錯乱して凶行に及んでしまった…

光代(深津絵里)との逃避行。その中で、祐一は生まれて初めて、その「実感」を得ることができたんじゃないのかな。「君が僕を知ってる」と。自分がどんな悪事をしたとしてもそれも含めてただ自分のことを承認してもらえる、と。

皮肉なことに、光代にその実感を与えてもらえたからこそ、光代を大事に思うからこそ、彼は彼女とのつながりを断ち切ろうと、彼女を守ろうと、また常軌を逸したような行動に出た(と思いました)。

それにしても祐一のしたことを知った後の、光代のとった行動はそれこそ常軌を逸していると言えるだろう。例え、誰にも求められない毎日に絶望して孤独だったとしても。

最初に祐一と光代が逢ってホテルに行った時の行為。それがやや一面的ではなかったかなあ。粗暴な反面優しく、ただの欲望とみえて、光代の体と心も満たしたということをもう少し丁寧に描いてくれないと、光代の行動に共感するのは難しいかもしれない。

逃避行の終着点の灯台。ロケ地は五島列島だそうだ。すごい絶景(行ってみたい)。機内誌で作者の吉田修一氏が書いていたのをちょっと読んだのだが。それまで一度もスポットライトを浴びたことのない、底辺で暮らし孤独だった二人が、唯一、光を浴びて主人公になれた場所。そこで夕陽を浴びる祐一の笑顔。

罪は重いが、人と繋がる実感を得た彼に希望はある、と思えた。割り切れない思いをかかえた光代にも。


にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村





ラベル:妻夫木聡
posted by mymble at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月13日

映画レビュー『小さな村の小さなダンサー』“MAO'S LAST DANCER"

毛沢東時代の中国。山東省の貧農の少年が共産党にその身体能力を買われて選ばれ、11才で北京の舞踏学校へ。全くバレエというものすら知らなかったところから毎日の厳しい練習を経て、共産主義プロパガンダのために踊る。それがチャンスがありテキサスのバレエ団へ3ヶ月の研修に行くことになるのだが…。

実在のバレエダンサー、リー・ツンシン氏の自叙伝をもとにした映画だそうだ。

中国の共産主義の歴史、文化大革命だとか、四人組だとかその追放だとか、細かい年代を追っての知識がないと感じきれない部分もあるんだろうな、とは思ったところ。

それにしても、少年期、若い青年期、青年期と3人の俳優がリーを演じるのだが、続きを読む
posted by mymble at 08:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ☆☆☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。